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NO.94「あらためてマゾヒズム1」
<マゾヒズム(英語: Masochism)>
 肉体的精神的苦痛を与えられたり、羞恥心や屈辱感を誘導されることによって性的快感を味わったり、そのような状況に自分が立たされることを想像することで性的興奮を得る性的嗜好の一つのタイプである。
 被虐性欲とも言う。
 極端な場合には、精神的な障害とも見なされ、この場合は性的倒錯(パラフィリア)となる。

 マゾヒズムの嗜好を持つ人を、「マゾヒスト」と呼ぶ。
 俗語で「マゾ」と呼ぶが、マゾヒストとマゾヒズムの両方の意味がある。
 被虐性淫乱症とも呼ぶが、これは変態性欲の通俗概念などと同様、多分に差別的な呼称である。
 ひとりの人間がサディズムとマゾヒズムを合わせ持っている場合はサドマゾヒストと言われる。
 略として、サドマゾとも言う。
 なお、マゾヒズムという発音・表記はドイツ語と英語の混淆したものと推測される。
 発音は、英語ではマソキズム、ドイツ語(Masochismus)ではマゾヒスムスに近い。

<マゾヒズムの語源>
 *『毛皮を着たヴィーナス Venus im Pelz 』など自伝的な作品で、身体的精神的苦痛を性的快楽と捉える嗜好を表現したオーストリアの作家ザッヘル=マゾッホの名前に由来してこう呼ばれる。
 マゾヒズムの概念を提唱したのは、*クラフト=エビングである。
 性的な倒錯として定義されたが、後に、被虐的な傾向一般をマゾヒズム(Masochism)と言うようになり、性的嗜好のマゾヒズムは、「性的マゾヒズム(Sexual Masochism)」とも言い分けて区別することがある。

 *『毛皮を着たヴィーナス Venus im Pelz 』についてはSMdream(SM映画・小説紹介)NO.3「毛皮を着たヴィーナス」参照
  『毛皮を着たヴィーナス Venus im Pelz 』を元にした映画

 *クラフト=エビングについては、SMdream(SM映画・小説紹介)NO.117「変態性欲心理学」参照

<マゾヒズムとは何か>
 人間が社会生活を行なっていれば様々な理不尽と思える状況に直面することがある。
 そういったときに「自分が我慢すればよい」と不当な圧力や要求に耐える人が存在する。
 また「囚われのお姫様」や「苦難を乗り越え進む英雄」と言ったヒロイックな状況は、苦痛・圧迫を伴いながらも陶酔感や大きな達成感が得られる。
 そのためどのような人間でも被虐嗜好的要素を持ち合わせていると言える。
 こうした自己犠牲や苦痛や逆境への親和が、実は、性的嗜好としてのマゾヒズムの基盤にある。

<加虐によって心の安定が得られる>
 理不尽に他人から暴力を振るわれて、それでも「自分が悪かった」「自分が我慢すればいい」と考えるのは防衛機制であるが、マゾヒズムの心理には、このような機制が存在すると言うべきである。
 また自罰的傾向のある人は、他者から与えられる身体的精神的な加虐によって、かえって心の安定が得られることがあり、ここでもマゾヒズムへの趨向が見出される。
 マゾヒズムはこのように、個人の自我の心理的な安定機制と深く関係している。
 これに対し、他者から苦痛や加虐を与えられて単に喜ぶだけの心理はマズヒズムではないとする考えがある。
 しかし、性的な状況においてこのような機制が働けば、性的快感や性的興奮に繋がるのであって、それは即ち性的マゾヒズムであり、自虐的な心理傾向を、性的嗜好としてのマゾヒズムと区別する方が寧ろおかしい。
 このような区別の背景には、マゾヒズムを先天的な気質あるいは人格の基底的趨向とする見方があるが、この考えは実証されていない。

<性的嗜好における異常・正常>
 マゾヒズムのなかには、先天的な素因が想定できるものがあるが、しかし、「マゾヒズム」という単一の心理趨向があるという根拠がそもそも存在しない。
 性的嗜好は、嗜好の現象的様態による分類把握であって、マゾヒズムのような心理機制がどのように成立しているのか、複数の機構が想定でき、更にそれ以上の多数の未知の要因が関係していると言うべきである。
 ある種類のマゾヒズムは精神障害として、性的倒錯に規定されている。
 このことより差別性が生まれることがある。
 また、世間一般で、マゾヒストは変態だとか異常だとかいう偏見も存在する。
 しかし、性的嗜好における異常とか正常という問題は難しく、決めつけることは望ましくない(参照:正常と異常、性における健康)
(参考: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

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